Web広告のコンバージョンとは? 意味と専門用語(CVR、CTR、CPA)を解説
2021年12月1日
Web広告を出稿するとき、重要となるのがコンバージョン(CV)です。初心者の方にもわかりやすいように、Web広告におけるコンバージョンの基礎知識から関連ワード、具体的な改善方法まで解説します。
目次
コンバージョンとは? コンバージョンの定義
コンバージョン(CV)とは、Web広告を見た人がとった行動のうち、ビジネスの成果につながるものを指します。たとえば、広告を見たあとに「Webサイトから問い合わせをした」「商品を購入した」「会員登録をした」といったものです。
コンバージョンはWeb広告の成果を測る指標になります。よい広告は、広告を見た人が商品を購入してくれたり、会員登録をしてくれたりします。コンバージョンの多寡を測ることで、Web広告の良し悪しを判断することができます。
あなたがWeb広告を出稿する目的によって、コンバージョンとして数えるものは異なります。Webサイトからの資料請求を増やすために出稿しているのであれば「資料請求」をコンバージョンとして集計します。ECサイトの販促のために出稿しているのであれば「商品購入」を集計します。スマホアプリのインストールを促す広告であれば「アプリインストール」をコンバージョンとして集計します。
広告からコンバージョンがあったことを、どのような方法で測定するのでしょうか? それには「コンバージョントラッキング」という仕組みを用います。
資料請求ページや商品購入ページにコンバージョントラッキングタグと呼ばれるコード(JavaScript)を埋め込むことで、広告からきた訪問者がコンバージョンしたかどうか集計することができます。
コンバージョンを測る3つの指標「CVR、CTR、CPA」
コンバージョンをより比較しやすい指標にしたものに「CVR」「CTR」「CPA」があります。
CVR(コンバージョンレート、コンバージョン率)とは
「CVR(Conversion Rate)」は、広告のクリック数に対するコンバージョンの割合です。たとえば、100回クリックされたうち10回のコンバージョンがあったなら、10回÷100回=CVR 10%となります。
CVRは、広告から飛んだ先のランディングページ(LP)の出来の良し悪しにも影響されます。
CTR(クリックスルーレート)とは
CTR(Click Through Rate)は、広告が表示された回数のうち、クリックされた割合です。1000回表示されたうち100回のクリックされたなら、100回÷1000回=CTR 10%となります。先ほどのCVRとあわせていうならば、1000回表示 → 100回のクリック(CTR 10%) → 10回のコンバージョン(CVR 10%)となります。
CTRは広告の質を直接に表します。ユーザーの興味をよくひく広告は、多くクリックされるからです。
CVRとCTRのどちらが大切?
CVRとCTRはどちらを気にかけるべきでしょうか。例として、以下の4つの広告で考えてみましょう。
表示回数 | CTR | クリック数 | CVR | CV | |
---|---|---|---|---|---|
広告A | 10000 | 1% | 100 | 20% | 20 |
広告B | 20000 | 0.5% | 100 | 30% | 30 |
広告C | 5000 | 4% | 200 | 10% | 20 |
広告D | 5000 | 2% | 100 | 20% | 20 |
CVRに注目すると広告Bが30%でもっともよさそうです。CTRに注目すると広告Cが4%で最も高いです。さて、どちらの広告がよい広告でしょうか。
じつはCVRとCTRが高ければよい広告であるとは限りません。次に紹介する「CPA」と合わせて考えます。
CPA(コンバージョン単価)とは
CPA(Cost Per Action)とは、1件のコンバージョンにかかった費用のことです。広告費に対してどれだけのコンバージョン数があったかを計算することで、広告の費用対効果を示します。単位は「円」です。CPAが安ければ、それだけコストパフォーマンスのよい広告ということです。
CPAは「コンバージョンコスト」や「Cost Per Acquisition」と呼ばれることもあります。また、スマホアプリのインストールを促す広告では「CPI(Cost Per Install)」と呼びます。
あらためて先の4つの広告を例にしましょう。Web広告を1回表示するごとに2円かかるとしたとき、CPAは以下のようになります。
表示回数 | CTR | クリック数 | CVR | CV | 広告費 | CPA | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
広告A | 10000 | 1% | 100 | 20% | 20 | 20000円 | 1000円 |
広告B | 20000 | 0.5% | 100 | 30% | 30 | 40000円 | 1333円 |
広告C | 5000 | 4% | 200 | 10% | 20 | 10000円 | 500円 |
広告D | 5000 | 2% | 100 | 20% | 20 | 10000円 | 500円 |
CVRがもっとも高い広告Bは、じつは費用対効果がよくありませんでした。CTRがもっとも高かった広告CのCPAは500円でした。そして広告Dも同じ500円です。そして、広告Cと広告Dを比較すると、CVRは広告Dのほうが高いです。
このようにCVR、CTR、CPAのどれか1つだけを見ていても広告の良し悪しを判断することはできません。3つの指標を総合的にみて判断しましょう。
コンバージョンをより細分化して測定する
インターネットでWeb広告がはじまった当初の1990年代は「何回表示されたか、何回クリックされたか」だけがコンバージョンでした。しかし、Webマーケティングの発達とともに、顧客の行動をもっと細かく測定し、広告の運用をより精緻しようという考えが広まりました。
たとえば、次のようにコンバージョンを細分化して計測します。
ユニークコンバージョン、総コンバージョン
コンバージョンを「ユニークコンバージョン」と「総コンバージョン」にわけて考えます。
たとえば、1人の訪問者が、広告をクリックしたあと「ECサイトで購入」と「会員登録」「メールマガジン登録」の3つのコンバージョンをしたとしたらどうでしょう。コンバージョン数は1と数えるべきでしょうか、3と数えるべきでしょうか。
「ユニークコンバージョン」はコンバージョンした訪問者の人数で数えます。先の例では1人の訪問者が何回コンバージョンしても「1」です。「総コンバージョン」は行動の数を数えます。先の例では「3」になります。
直接コンバージョン、間接コンバージョン、ビュースルーコンバージョン、クリックスルーコンバージョン
顧客がWeb広告をクリックとしても、そのまますぐに商品を購入したり、資料請求したりしてくれるとは限りません。そのときは「ふーん」と思ってブラウザを閉じてしまっても、あとになって思い出して検索し購入する、というケースもよくあります。
Web広告がなければ顧客は購入しなかったわけですから、広告の効果はあったと考えられます。しかし、クリックされたときには購入されていないので、CVRはゼロです。このようなケースの広告効果はどのように測定すればよいでしょうか。
「直接コンバージョン」は、顧客が広告をクリックして、そのままコンバージョンした数です。「間接コンバージョン」は、顧客があとでコンバージョンした数です。「アシストコンバージョン」と呼ばれることもあります。
じつは、多くの顧客は広告を見てすぐ購入することはありません。検討する時間があります。そのため直接コンバージョンは少なく、間接コンバージョンが多くなります。
それでは、「顧客がWeb広告を見た(クリックしなかった)が、そのときは見ただけで流してしまい、あとになって思い出して検索し購入した」というケースはどうでしょうか。クリックしていないので、間接コンバージョンですらありません。しかし、広告の効果はあったので、なんとかして計測したいのです。
そこで「ビュースルーコンバージョン」という指標が登場しました。顧客が広告を見たけれど、クリックせずにコンバージョンした数です。「広告を見た」ことがどれだけコンバージョンに影響しているのかを知ることができます。
対して、広告をクリックしてコンバージョンした数を「クリックスルーコンバージョン」と呼びます。すぐコンバージョンしたか、あとでコンバージョンしたかは問いません。つまり、直接コンバージョン+間接コンバージョン=クリックスルーコンバージョンということです。
中間コンバージョン(マイクロコンバージョン)、最終コンバージョン
Webサイトでコンバージョンするまでには、いくつもステップがあります。たとえばECサイトであれば、「購入する」までには、「カートに入れる」→「注文内容を確認する」→「支払い方法を決める」→「フォームを入力する」→「購入ボタンをクリックする」と5つのステップがあります。
このとき、顧客が「支払い方法を決める」まで進んだものの、「フォームを入力する」のステップでブラウザを閉じてしまったとしたらどうでしょうか。「購入する」にいたっていないのでコンバージョンはゼロですが「途中まで進んだ」という情報は貴重です。あともう一工夫すれば購入してもらえるかもしれないからです。
顧客はコンバージョンまでステップの途中でつまづくことが多いため、この中間の情報を集計したい、という考えが生まれました。
「中間コンバージョン(マイクロコンバージョン)」は、コンバージョンまでのユーザーの行動を分解し、それぞれのステップをコンバージョンとして考えます。先の例では、5つのステップそれぞれを中間コンバージョンとして計測します。
それに対して「最終コンバージョン」はゴールとなるいちばん最後のコンバージョンを指します。
推定コンバージョン
プライバシーの保護や、技術的な制約のため、アクセス解析ツールで測定できるコンバージョンが限られることがあります。「推定コンバージョン」は、そのようなときに「あったと推定されるコンバージョンの値」を算出することで、実数の代わりにして広告効果を測定するためのものです。
推定コンバージョンはGoogleアナリティクスのようなアクセス解析ツールで算出することができます。
コンバージョンを増やすにはどうすればいい?
Web広告のコンバージョンアップについて、代表的な方法を紹介します。
クリック数を改善するためには
米オンライン広告会社 Wordstream の調査によると、一般的な広告のCTRの平均は 0.47%です。顧客が広告をクリックする確率が高くなれば、それだけコンバージョンの数も増えます。よくクリックされる広告にするには、どのような改善方法があるでしょうか。
広告文のキャッチコピーを見直す
広告の大きさは限られているので、入れられる文字数も限られます。効果的なキャッチコピーを選びます。次のようなキーワードを含めるとよいです。
- 「無料」や「限定」といったキーワード
- 「〜するだけで…」などの条件を示すキーワード
- 上位検索キーワード
- コンバージョンした顧客へのアンケートから探したキーワード
- 顧客のニーズを言い当てたキーワード
リマーケティングを活用する
「リマーケティング」とは、一度サイトを訪問した顧客に対して、再度の広告を表示することです。一度サイトを訪問している顧客は、商品・サービスに興味を持ち続けている可能性が高いです。そこで再度の広告を表示することでコンバージョンを促します。
ジオターゲティングを活用する
「ジオターゲティング」とは、位置情報を使って、その地域にいる顧客に広告を表示することです。スーパーや不動産、学習塾など、地域に根ざした商品やサービスでの活用が進んでいます。
CVRを改善するためには
クリック数が多いにもかかわらず、コンバージョンが少ないとき、すこし頭をひねる必要があります。クリック数が多いのですから、Web広告はうまくいっていそうです。このようなケースでは、ランディングページに問題があるか、あるいはWeb広告とランディングページがうまく連携できていないかの、2つの可能性があります。
ランディングページのCTA(Call To Action)を改善する
ランディングページ(LP)とは、Web広告のクリックからアクセスすると表示される1ページのことです。 顧客が求めている商品を説明し、広告から渡されたバトンをつないで、コンバージョンへ導きます。
LPには、商品の魅力を伝える情報や、品質を裏づけるデータを掲載しましょう。顧客の不安を取り除き、次に進むための動機を与えましょう。
LPについて詳しい解説は「今さら聞けない「ランディングページ(LP)」とは? 成果の出る作り方や注意点など」の記事をご覧ください。
LPに問題がある場合、CTA(Call To Action)の改善がおすすめです。CTAとは、LPを訪れた顧客が、迷わず次の行動に移ることができるように誘導する工夫のことです。
CTAについて詳しい解説は「CTAとは? CTAを改善するコツを紹介」の記事をご覧ください。
CTAを改善したいけれど考える要素が多く、Webサイトをいちいち修正するのは大変、という場合は、「ぽちっとクリック」がおすすめです。ユーザーの目を引くデザインのCTAボタンを、かんたん設定ですぐ設置することができます。デザインもサイトに合わせて複数から選ぶことができます。スマートフォンやタブレットのマルチデバイスにも対応しています。無料登録はこちらからいただけます。
Web広告とランディングページの組み合わせを最適化する
Web広告とランディングページをそれぞれ別々につくっていたとき、内容が食い違ったり、広告でうたった内容がランディングページでちゃんと説明されていない、ということが起こることがあります。
広告とランディングページの内容に差があるとき、顧客はだまされたと感じて離脱します。広告がユーザーを過度に期待させてしまっていることもあります。
広告からランディングページへのストーリーがうまくつながるようにします。広告だけ、ランディングページだけを改善するのではなく、両輪として運用します。
Webサイトのコンバージョンとの違い
Webサイトの運営においても「コンバージョン」という言葉が登場します。Webサイトのアクセス数に対して、どれだけビジネスの成果があったかを測定します。
Web広告でもWebサイトでも同じ「コンバージョン」という言葉が使用されており、コンバージョンが指す意味も同じです。しかし、じつは広告のコンバージョンとサイト運営のコンバージョンでは、目線を変えて考えないといけません。
Webサイトのコンバージョンは、コンテンツの改善によりコンバージョンアップを図ります。一方で、Web広告のコンバージョンは、広告のキャッチコピーやデザイン、ランディングページの改善によってコンバージョンアップを図ります。取り組むべき施策が異なるのです。
あなたが「コンバージョン」について情報検索すると、さまざまな記事が見つかります。そのなかには、Web広告のコンバージョンについての記事と、サイト運営のコンバージョンについての記事が混在していることでしょう。
Webサイトのコンバージョンについて詳しい解説は「コンバージョン(CV)とは? Webマーケティングにおける意味を徹底解説」をご覧ください。
まとめ
「コンバージョン(CV)」はWeb広告の成果を示す指標です。コンバージョンのしくみや概念を理解して、Web広告の費用対効果を正しく測定しましょう。
とくに重要な用語であるCVR(コンバージョン率)、CTR(クリックスルーレート)、CPA(コンバージョン単価)の意味と関係がわかれば、あなたの広告とランディングページをどのように改善していくべきか方向がわかるはずです。
「広告を出稿する意味は何か」をいま一度ふりかえって、コンバージョンポイントを明確にし、Web広告を最大限に活用しましょう。